1997年2月17日

東京地方裁判所民事20部担当裁判官殿

(株)栄高破産管財人奥野善彦殿

                アンバサダー横浜松見町管理組合

申入書

 松見町管理組合など管理代行名義の預金については、管理委託契約・管理規約・過去の判例等から見て、預金は管理組合固有の財産であって、管理組合に帰属することは明白であり、栄高の財産であるとの主張は成り立たない旨、私どもは従来から何度も繰り返し申し上げてきたところです。(株)栄高の破産事件にかかる預金帰属を巡る調停について、破産管財人は、新たな和解案を提示するとのことですが、下記の理由から改めて、否認権行使を行わないよう強く申入れいたします。

【1】 本来マンション管理組合のものであることが明白な預金について、それを「取りあげろ」とか、「栄高の財団に組み入れろ」とか、否認権行使によって、不当な利益を受けることを敢えて声を出して望む者が存在するとは想像できません。今回の集会のご案内にある「判決内容に従い、組合を相手方とした否認権行使の訴訟等に着手すべきという声」は、いったいどこの誰が発しているのでしょうか?民事20部でしょうか?銀行等栄高の一般債権者でしょうか?明確に答弁願いたい。

【2】別紙「さくら・三和銀行判決理由と松見町管理組合の実態との対比」に示したとおり、松見町管理組合の預金については、銀行判決の理由とは全く異なる実態があり、銀行判決をもとに否認権を主張するのは、甚だしく筋違いです。

【3】管財人及び民事20部は、管理組合に対して否認権行使の訴訟提起や和解を強要するのではなく、むしろ預金は管理組合のものと認めて、否認権行使はしないことを明白に宣言して、もし、それに異議を唱えて、管財人・民事20部を非難する者があれば、それらの者と争うのが正しい態度ではないでしょうか?それが正義を守る弁護士・裁判官の役目ではないでしょうか?鉾先を向ける相手が違います。

【4】 百歩譲って、和解や訴訟が避けられないとしても、対象となる預金は、銀行訴訟で争われている預金と同じものに限定すべきであって、銀行担保にもなっていない、もちろん相殺されてもいない管理代行名義について、否認権行使の対象とするのは明らかに誤りです。

組合毎の委託契約・管理規約・利息の計上・組合理事会の機能等を十分比較精査した上での和解案なのか?明らかにされたい。

【5】 私どもは、1996年2月28日付けの文書で預金と出捐者について、再度意見を申し上げ、それについての管財人のご回答をお待ちしていましたが、全く返答の無いまま、和解案の提示に至るのは納得がいきません。きちんと返答して下さい。