野次馬トーク(その9)
76回箱根駅伝直前大胆予想
【三つ巴?】
野次郎
「いよいよ明日箱根駅伝のスタートだ。」
馬八
「うん、ホントにわくわくしてくるね。」
野
「オレ達の直前大予想も、文字どおりぎりぎり直前になってしまったが、今回は非常に予想が難しい。」
馬
「マスコミも、前回の大はずれに懲りてる訳ではないだろうが、ズバリ本命を絞りきれてないね。」
野
「前回は駒沢が本命で、その前は神大が優勝候補筆頭に挙げられてたが、今回は順天、駒沢、山梨と3強が甲乙つけがたい。やはり三つ巴だろうな。」
馬
「オレ達の前回のトーク(その8)では、3強に準3強を加えて6強だと言ったが、マスコミはやはりJYKの3強に絞った見方が多いね。」
野
「うん。まず準3強・神・中・帝のうち、中大が、藤田・小川・杉山と柱になるべき3人が欠場し、迫力が落ちた。しかも、エントリー14人のうち、10000m28分台がゼロとなったが、これは68回以来のことで中大にとってはちょっと不名誉なデータだ。69・70・71・72・73・74・75と7年連続で、必ず2・3人は28分台がいて、トラック10000mでは中大は絶対強いと言われてきたんだがな。」
馬
「また帝京は、予選会ダントツトップだが、優勝争いにからむという見方は出てないね。」
野
「20kmの平均タイムでは、4位に入るが、10000m平均が29分54秒と11番目で、意外と良くない。
まあ、本人達もまずはシード権をしっかり獲ることが目標で、優勝まで欲張ってないだろうね。」
馬
「3強に神大を加えた4強という見方と、神大は3強からは一歩劣るとする見方と、山梨よりむしろ神大を買う見方と様々だが。」
野
「神大は、10000m平均でもトップ駒沢とほぼ並んでいるし、20km平均でも山梨と並んでトップだ。また横須賀シーサイド、日体大記録会ともまずまずで、調子を上げてきているようだ。3強の一角を崩してあわよくば優勝をといったところかな。まず出雲・全日本のようなことはないだろう。」
馬
「山梨は、古田・カリウキで流れを作って往路で一気に突っ走ると怖いだろうね。」
野
「うん、だが、オーダーを見て、順天と駒沢のバランスの良さが目立つね。優勝争いはこの2校が軸になるんじゃないかな。」
【1区】
馬
「では、早速区間毎に見て行こう。まず1区から
順天は岩水、駒沢は島村1年生、神大が相馬、中央が板山、山梨が大浜、帝京が谷川、法政が徳本、早稲田が新井、日体大が佐藤。」
野
「20kmでは谷川が一番良いタイムだが、10000mでトップの徳本、2番手の相馬あたりが引っ張る展開かな。
大浜はベテランらしくしっかり付くだろうし、駒沢島村がどこまで食い下がるか見物だ。」
馬
「中央板山、順天岩水、日体大佐藤も上位で襷を渡せるだろうね。」
野
「神大は、過去7年間の間に、3区から10区までの区間賞を取っているが、この1区と2区にだけ区間賞がないんだ。今回はチャンスだから、是非相馬に狙って欲しいね。」
【2区】
馬
「2区は順天高橋・駒沢神屋・神大辻原・中央武田(藤原に変更か)・東海坪井(柴田に変更か)・山梨古田・大東秋山・日大北野(山本へ変更か)・東洋秋葉・帝京中崎・法政坪田・早稲田佐藤・日体大須藤・関東尾田・拓殖安部。変更見込みも入れて、15人中9人が28分台と、今回もエースが揃った。」
野
「区間賞争いは、古田が怪物として最後の箱根を飾るのか、山本が念願の初の区間賞取るのか、高橋・神屋が優勝に貢献する走りをするのか、辻原が地元の声援を背に流れを作るのか、中崎が予選会日本人トップの力を見せるのか、坪田が前回に続き好走するのか、早稲田佐藤が2年前の区間賞梅木に続いて伝統校早稲田の底力を発揮するのか、興味は尽きないね。」
【3区】
馬
「3区は順天が坂井、駒沢が関根、神大が原田、中央が村本、山梨が松下、帝京が北島だ。
駒沢は布施か平川に代わるんだろうか?あるいはここで大西を投入するのかな?」
野
「神大原田は、1年生で駅伝初登場だが、横須賀シーサイドで神大内4位と急成長してきた選手だ。
関東学院の注目の1年生尾田が報知で「シード校の1年生の方が強い」と言っているが、横須賀で8秒上回った原田のことで、一目置いている。」
馬
「山梨の松下が3年振りに登場だが、どうだろう?」
野
「松下は、10000mでも20kmでも、持ちタイムの学内順位はベスト10に入ってないんだが、1年生の時に見せた勝負強さを買われての登場かな?宮原・尾崎あたりに変わる可能性もゼロではないと思うが。
いずれにせよ、古田でかなり貯金を作ってリードするだろうから、それを守れるかどうかだね。」
馬
「3区では20kmの持ちタイムNo1の帝京北島とNo2の原田の区間賞争いにも注目したいね。大西が出てくれば別だが。」
野
「大西だとすれば、駒沢がどこまで追い上げるかだね。
順天の坂井も粘りの走りを見せるかどうか。
早稲田・東海・法政は2区までトップ集団にいても、3区では相当粘らないと、徐々に後退して行く可能性が高いね。」
【4区】
馬
「4区、順天は吉岡だが野口か奥田に変わるだろう、駒沢は前田、神大は勝間、中央藤村、山梨カリウキ、帝京が鎌浦。」
野
「カリウキの走りに注目だね。20kmに不安は無いと言うが、本当にそうかな?
自分でペースをキッチリ作れたら凄いことになるが、カリウキで流れに乗るか乗らないかで、山梨の命運がハッキリわかれてしまうからね。」
馬
「ここらで順天がぐっと出てくる可能性もあるね。」
野
「野口は、出雲区間賞・全日本区間2位と、奥田もそれぞれ区間2位・3位と安定性は抜群だしね。」
馬
「神大は勝間が5区でなく4区に来たのは意外だね。」
野
「4区は、第2のエース区間だからね。平地での走りに期待したんだろうね。
駒沢の前田はキャプテンとして4区の重責を果たすのか、あるいはここに大西が入ってくる可能性もなくはないね。」
【5区】
馬
「いよいよ山登りの5区だが、順天は前回、区間3位と好走した佐藤、駒沢は1年生松下、神大も1年生浅尾、中央が2年生富田、山梨も1年生松田、帝京も1年生飛松と1年生がずらっと並んでいる。大東大が前回2区で好走した小林を5区にもってきている。小林が本当に走るなら区間賞候補の一人かな?」
野
「前回の5区区間賞柴田・2位神屋も1年生だったし、1年生に期待するところが大きいんだろうが、今回の1年生は、やや小粒な感じがする。」
馬
「順天がここで、ベテラン佐藤が前回同様の走りを見せるのかが、ポイントの一つだね。他のチームが1年生ばかりで、ある意味ではギャンブルじゃないかな?」
野
「確かに、5区はタイム差が大きく出やすいだけに、リスクも大きいよね。
神大は林に変わる可能性もあるが、駒沢・山梨とも、1年生に賭けてみてるんじゃないか」
【6区】
馬
「6区は、順天が沢田だが宮井か榊枝に変わるだろう。駒大は上原、神大は野間、中央は永井、山梨は前回と同じ黒岩、帝京は佐竹。」
野
「前回下りで区間3位に入った大東の金子が、区間賞狙いのようだ。
コース変更で前回の中澤の記録が1年限りで消えてしまうのは、何とも残念だ。4mしか変わらないんだったら、芦ノ湖畔のゴールの地点を4mずらして、変更無しにすれば良いのにとも思ったけどね。」
馬
「6区下りも登りと同様に飛び抜けた選手が見当たらない。箱根の重要なポイントの上り下りに、優勝争うチームが決め手を持ってないというのも、今回の箱根が、混戦といわれる所以かもしれないね。」
野
「山を制するものが箱根を制すると言われているが、前回は必ずしも順天が山を制した訳ではない。ただ上りが区間3位・下りが区間4位と山を無難につないで、それが優勝に結びついている。今回もいかに先頭から離されずうまくつないで行くかが、大事になるんじゃないかな。」
【7区】
馬
「7区は、順天政綱、駒沢揖斐、神大田中、中央野村、山梨清田、帝京吉富。」
野
「政綱は全日本でややブレーキとなってしまった。ここらが順天のウィークポイントだろうな。
駒沢・中央はやはり後半重視で揖斐・野村を置いたんだろうか?。
神大田中は20kmでは一番良いが、本領を発揮してくれるか楽しみだ。山梨清田は、尾崎か尾池に変わる可能性もある。」
【8区】
馬
「8区は、順天は上口だが、奥田に変わるだろう。駒沢の武井も大西か平川あたりに変わる可能性が高いね。神大は中村、中央は花田、山梨は安藤だが宮原に代わる可能性もある、帝京は市川。」
野
「遊行寺の坂をトップで登ってきたチームがどこになるか?
前回は駒大がトップだったが、順天奥田がひたひたと迫り、9区の逆転のドラマのお膳立てを作ったが、今回はどうなるか?楽しみだね。」
【9区】
馬
「9区、順天は入船、駒沢西田、神大小松、中央中川、山梨西川、帝京喜多と各チームは準エース級を投入しているね。」
野
「中央・帝京がちょっと弱い感じがするが、4強はさすが実績のある第2のエースをここへ置いている。最後の駄目押しか、逆転を狙おうという計算だろうな。」
【10区】
馬
「10区は順天宮崎・駒沢高橋・神大吉野・中央宇野・山梨椎葉・帝京安生。」
野
「順天宮崎が実質1年ぶりの登場じゃないかな?前回のような堅実な走りが見られるのかどうかだね?
駒沢高橋は箱根初登場だが府中で学内7番目だった。神大吉野も箱根は初登場だが一昨年の全日本で好成績を残していて、実力は十分だ。山梨椎葉も初登場だが、名古屋ハーフで学内4位だった。
という訳で初登場が多いが、みなアンカーとして出てきただけの力は持っている。」
【オーダーから見た6強】
馬
「オレ達がいう『6強』を中心にオーダーを見てきたが…。」
野
「こうして見てみると、順天が一番バランスがとれている感じだな。」
馬
「駒沢は1年生次第だろうね。1年生が活躍すれば優勝も見えてくる。」
野
「山梨は往路で作った貯金を復路で使い果たすことなく維持できるかどうか、追ってくる順天を振りきって逃げ切れるかだろうな。復路がやや手薄に見えるが、尾崎・尾池・宮原を復路に投入すればかなり充実してくるんじゃないかな。」
馬
「でも順天も含めて各チームとも、穴が無い完璧な布陣とは言えないんじゃないかな?」
野
「そうだな。やはり10人が揃ったチームはなさそうだね。
また有力メンバーが意外に走れなかったりすることも過去の例ではいくらもあるしね。」
馬
「ホント、箱根は何が起きるかわからない。」
野
「ところで、神大は3位以内に入らないと、全日本のシード権が無くなり、6月の選考会に出て全日本を目指すことになる。オレ達サポーターとしては、何としても3位には入って欲しいところだね。」
馬
「高校駅伝で、仙台育英が『粘りの走りとはこういうものだ』という見本を見せてくれたが、神大には、粘って粘って粘り抜いて欲しいね。」
野
「多分各チームとも頭の中に、仙台育英の『粘り』が強烈にこびりついていて、今回の箱根でも混戦が予想されるだけに、『粘り』が勝敗を左右すると思っているんじゃないかな。」
【シード権】
馬
「もう一つ注目のシード権争いはどうだろう?」
野
「マスコミでは帝京がシード権争いに名前が出てくるが、帝京のシード権は固いと思うけどね。
前々回初出場で15位、前回はシード権争いに加わると見られながら、またもや15位に沈んだが、今回は違うよ。
力み良すぎて、2度有る事は3度あるで、またまた本戦で力が発揮できないということも無くは無いが、今回はいかに上位を脅かすかという存在だと思うね。」
馬
「中央もまあ大丈夫だろうし、全日本で7位に入った東海も力がありそうだし、7校までがシード権確実と見て良いんじゃないか?
残り2つの椅子を、大東・日大・東洋・法政・早稲田・日体大・関東学院・拓殖の8校で争うということかな?」
野
「いやー、厳しいな。20kmに持ちタイムから見ると早稲田も日体大も良いし、予選会の勢いからすれば法政も悪くないし、関東学院もシード権獲得に自信を持っているようだし、拓殖も実力どおり走れば上位に行けるはずだし、前回のシード校の大東・日大・東洋も核になる選手がしっかりしているようで、シード権争いは大混戦になりそうだね。」
馬
「ちょっと気になるのが、拓殖だ。当然2区を走ると見られていたエース吉田和央が8区に回っていて、2区は安部になっている。」
野
「前回もやはり2区確実と見られたエース吉田行宏が不調で7区に回ったが、今回もちょっと不可解なオーダーだね。」
馬
「いずれにせよ、あと半日でスタートが切られる。
各チームとも大きなブレーキを出さず、悔いの無い走りをして欲しいね。」
2000.1.1 pm7:00